ハメは卑怯？ 最高の誉め言葉ですね。
自分の手を直接汚さず相手を仕留める事が、ここまで危険な魅力を持っていたとは。悪役の気持ちがちょっとだけわかった気も。
様々な「トラップ」を操る事で侵入者を撃退する異色アクション、刻命館シリーズの第二作目です。
特徴はなんと言っても、天井・壁・床に配置するトラップを駆使する事で、敵を操り倒せるというシステムでしょう。時として、何もさせないままハメ殺せる様は、自分が何か高みに立っているような錯覚を覚えます。なんと言うか、既存のゲームで悪役がやってきたような事を今度はプレイヤーが行えるというか・・・・・・。
もちろん、相手も黙っちゃいませんし、こちらには「直接攻撃が一切行えない」という制約もありますが。
そのトラップシステムですが、天井・壁・床、大きく三つに分かれているのは先述の通り。そこから、天井なら岩落とし、ガス。壁なら自動弓矢に相手を押しつぶす壁。床なら地雷に跳ね上げるスプリング・・・・・・など、様々な効果をもつものがあります。
そしてそれぞれに威力と「チャージタイム」が設定されており、効果範囲が広い＆威力の高いものほどチャージタイムが長い（＝一度起動させると、再度使うのに時間が必要）という関係が成り立っている事で、ただ威力が高いものを選べばよい、という単純な選択はし難いものとなっています。
トラップ同士の相性と、トラップ単発の使いやすさについて試行錯誤を重ねながら、どれを使うか選ぶのも一つの楽しさでしょう。
個人的に面白かったのは、侵入してくる相手に余分なプロフィールがついている事。相棒と結婚がどーとか、人間ん関係結ぶのが上手くて重宝がられてるがどーとか、言ってみれば、ゲーム中には全然関係ないような説明がついています（もちろん、ストーリー背景的に重要な説明の奴もいますけれど）。でも好きなんですよね、こんないい意味で無駄なこだわり（笑）。
開発者もけっこう自分の好みでいろいろ設定したんじゃないでしょうか。
その他、ストーリーがかなり「重たい」です。でもこの重たさが、ゲームの魅力を一つ際立たせているような。主人公そのものにも悲劇がかっているだけに、相乗して雰囲気作りに成功していると言えるでしょう。
一方で残念な点。
第一に敵がおバカ（苦笑）。同じ職種（？）の相手なら、前半と後半で多少ステータスが違うくらいで、行動パターンが同じなんですよ。ですから相手を見切ってしまえば、戦闘が楽になって・・・・・・ちとあっさり倒してしまう事が少なくないです。
そしてクリア後の持ち越しがあまりない事。このゲーム、マルチエンディング方式になっていて、クリア後のデータを持ち越して最初からまたはじめる事が出来ます。
しかしその際、ためたお金や作成したトラップは事実上ゼロに戻ってしまい、イチからゲームを進めなければなりません。そのため、１周で全てトラップを揃える事ができなくなっています。
せめて一度作ったトラップぐらいは、２周目からは自由に使えるようになれば良かったし繰り返しプレイもラクになったんでしょうが・・・・・・・。
クセのある作品である事は間違いありません。そのぶん、独特な魅力があるのは事実。モノを使役して相手を倒す、というアブナイ快感が味わえるのは、このシリーズが最右翼でしょう。
１クリアまでは十数時間ほど・・・・・・と言っても、トラップコンボこだわる人は相当ハマるでしょうが・・・・・・マルチエンディングを一つ一つ目指しても、あまり苦にはならないはずです。安かった事もありますが、値段分は十分に楽しめました。
と言うか、やっぱり相手をハメる楽しみがいつの間にか身についてしまって、自分でもやば〜とか思ったり（笑）。
・ハメるか・い・か・ん♪
・繰り返しプレイもあまり気になりません。
・研究すればするほど楽しめるトラップコンボ。
・敵の行動パターンが少ない。
・トラップ持ち越し不可。