アンチゲーム・ゲーム
今さらながら中古で購入して、その値段にびっくらこきました。
今は、初代ＰＳ時代のソフトの中には、品薄で高騰してるものもあるんですねぇ。
さて改めましてこのソフト、話を聞くに、『あのＥＤはどうよ？』って声をそこかしこに聞きまして、そのへんが気になっておりました。
で、改めて手を出してみた次第で……。
その感想、『あのＥＤはどうよ？』…………って同じかい！＜セルフツッコミ
【システム】
一応、ＲＰＧ作品としていますが、実際はフラグ立て要素が強いミニゲーム入りＡＤＶに近いですね。
主人公は最初、おそろしく活動時間が短いです。
これをイベント消化や、勇者によって命を奪われた動物の魂を救うことでラブを集め、活動時間を増やしながら、世界を探索するという形。
戦闘は一切ありませんし、反射神経を要求される事もあまりありません。一部のソウルキャッチぐらいでしょうか。
むしろ、想像力やヒントを組み合わせる推理力の方が大事かと。
経験値や成長要素は皆無、お金集めもごく限られたものだけ（かつ、釣りゲームで簡単に稼げる）なんで、戦闘バリバリのＲＰＧとしてプレイしようとすると肩透かしを食うと思います。
【音楽】
これはゲーム中に音楽集を買っていくことで、どんどんＢＧＭを増やす事ができます。
多彩なアーティストが参加しているので、色々と気分によって試しているのもあり。
効果音以外はエンドレスで流れるので、そのへんも特色としてあげられるかと。
【作品として】
ここなんですよ。おそらく評価が最も分かれるのは。
最初に言っておくと、私はあまり好きじゃありません。
以下、かなりネタバレです。ご注意を。
まず、これはいわゆる、ゲームアンチなゲームです。
主人公に、ＲＰＧの概念を崩させておいて（世界を救う勇者は殺戮を繰り返す悪者など）、実は「ｍｏｏｎ」の世界自体、プレイ中に手に入る奇盤＝基盤（ゲームのメモリー）に定められた世界であり、エンディングで現実世界に戻った主人公が、そのゲームという存在（＝遊具）から離れる選択肢を選ぶことで、真のＥＤらしきものが見られる、という流れからくるものです。
要は、ゲームばっかして遊ぶなよ、と。
確かに現実世界のこととシンクロさせるのはアリなんでしょうが、プレイしてきたmoonのことをここまで否定されると、「それで？」って白ける気分にもなっちゃうんですよね。
で、その終盤の流れがあまりに説明不足です。
これでは、ゲームプレイの否定である面も含め、いやむしろ、ゲームプレイの否定というかなり重大なテーマを掲げるからこそ、冒頭の『あのＥＤはどうよ？』的な感想を持たれてもしょうがないと思うんですよ。
それ以外に、プレイしていて、世界の統一感が無さ過ぎるのもちょっと……。
独特な世界といえば聞こえはいいですが、狭い世界観の中に、中世、未来、キノコ世界、和風、アメリカンギャグ、それぞれのエリアが突拍子もなくおかれていて、イベントのアイディアを繋ぎ合せただけって印象が強かったです。
正直、今までの概念とかけ離れた「魔物討伐の勇者」というキャラが、最後までキーを握るんですから、全編中世で統一した方が良かったんじゃないかと
【欠点】
その他の気になったところを。
中盤以降は、ラブ集めの必要性が薄くなるところですかね。
序盤こそ活動時間が短いので大変ですが、ある程度ラブを集めると活動時間に十分な余裕ができ、サボテン＆たこちゅうによる移動のお手軽さも加わるため、ラブ集めはそこそこで、って感じになります。
集めたラブによって称号はもらますが、それでエンディングが変化するわけではないですしね。
それと寄り道要素に、ラブ集め以外のイベントがほとんどないのも寂しかったです。
せっかく、のんびり世界観を楽しませようとする姿勢はわかるのに、そういうプレイ意識を喚起させるもの……例えば、ラブ以外の収集要素とかやりこみ要素とか……が欲しかったところでしょうか。
【まとめ】
うーん、やはり辛口になっちゃいますねぇ。
これが発売された当時、ライトユーザーにかなり受けたらしいです。
上で挙げた、ゲームの否定ってテーマが斬新だったからでしょうか。
ただ、かなりの数のゲームをプレイしてきて、それぞれの仮想世界を楽しむためにゲームをプレイしているヘビーユーザーとしては、現実とシンクロさせてのゲームの否定ってのは、あまり求めてないっていうか。
とにもかくにも、私一個人としては、相性が良くなかった作品でした。
現在、中古でも相当値段が高いので、購入を検討しようとする際は、自分がゲームに何を求めるか、よく検討してから、購入の決定を下すことをお勧めします。
・斬新なテーマ性。
・選択肢が豊富なＢＧＭ
・斬新すぎるが故の、好みが分かれすぎるテーマ。
・終盤からの展開が説明不足。
・世界観の統一感の無さ。
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