こちら、桜坂一〇五（ヒトマルゴ）！
「絶体絶命都市」に続く、アイレムの災害シリーズ？二作目。
火事という、身近な災害を舞台に、３Ｄ探索式の消化アクションとして描かれています。
【キャラ・グラフィック】
まずグラフィックですが、「イラストの再現度」は高くありません。ポリゴンも粗いですし、美麗さにこだわる人はちょっと拍子抜けでしょう。
特に女性陣の描写はもう少し頑張って欲しかったところ。
ただ、これはキャラの立ち絵などに関してのもので、ステージ内などの描写は合格点を与えて良いと思います。
カメラ視点や移動に関してストレスを感じることは、全くと言っていいほどありませんでした。
また、人物としての描かれ方は良いです。大人なドラマ感を醸し出していて、題材にマッチしたものでしょう。
【音楽】
基本的に、効果音中心です。ＢＧＭは数えるほどしかありません。ただ、その演出が却って現場の緊迫感を上手く出しています。人を救出した時などに短いＢＧＭが入る事で、「目標達成」を実感できますし。
個人的に良かったのは、セリフの一つ一つにこだわりが感じられること。
「要救助者」「桜坂ヒトマルゴ」「遺留品を発見」―――など、いかにも現場で交わされる言葉がバンバン出てきます。
このへん、製作側も取材とかしたんでしょうが、こういうあえて耳慣れない単語をふんだんに盛り込んだ点は評価されるべきではないでしょうか。
【システム】
基本的に、燃えているところへ向かって、プシューっと水や圧縮水（インパルス）を吹き付けて消火→移動→消火、という流れです。
たいていのアクションゲームでは、プレイヤーが超人的な活躍でこなしますが、今作ではこれらの作業、一人では火事場の全てを補いきれません。
そこで、「仲間への指示」というこのゲーム独自のチーム性を生かすことが、プレイヤーに求められます。
この仲間達、消火作業そのものはかなり効率が良いです。ゲームに慣れない頃は、プレイヤーより消火が上手いかも。
それだけに、彼らへの的確な指示が、現場の消火を成功させるか否かを分けてきます。
ただ現場を消火するだけなら、適当に指示しているだけでもいいのですが、要救助者の安全な救出、遺留品の確保、そしてステージクリア後の評価にこだわり始めると、この「指示」の面白さが俄然増してきます。
ヘタレた仲間ならそういうヤル気もおきませんが、先に述べた通り、仲間が本当に頼りになりますからね。
どこに誰を向かわせるか、どのタイミングで消火活動を切り替えるか、チームを組んだアクションの面白さ、上手く表現できていると思います。
他に、ドラマパートで推理要素もあるんですが……こちらはイマイチでした。
爆弾解体は唐突な感じがし、また推理に必要な遺留品の数がそれほど多くなく、大きくストーリーが分岐するほどでもないので、どちらも中途半端に終わった印象が否めません。
遺留品の数を増やすなり、推理要素は削って、もっと大きなストーリー分岐にした方が良かったのでは。
また、消火ロボットなどいくつかのギミックも、使用回数が少なく完全に活かしきれているとは思えなかったのも残念。
消火ヘリ、消防ハシゴ車などの利用とタイムラグなんかは良かったんですけど。
あと欲を言えば、フリーモードのステージを増やして欲しかったです。
ストーリーモードで遊べるステージのほか、フリーモード・オリジナルのステージが３〜４個別にあれば、もっとボリューム感が出せたのではないかと。
久しぶりに新鮮な面白味を体験できたゲームでした。仲間とのリアルタイムの指示と共闘、これに尽きますね。
ビジュアル、シナリオで作りの甘さも見られますが、肝心のアクションパートにセンスが感じられるので、遊んでいるうちにハマる人が多いのではないでしょうか。
やはりそれだけに、繰り返し＆長く遊べる要素がもっと欲しかったところ。ここは本当に惜しいところです。
良作で個人的に好きですし、人にもオススメしたいのですが、トコトンやり込むような人には向かないかもしれません。
・題材と、アクションのオリジナルさ。
・仲間との連携。指示する緊迫度・面白さが良い。
・推理関係。ストーリーが甘い。
・グラフィックの質の高さを求めたいところ。
・やはりボリューム関係。フリーモードの数が充実していたら……。
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