モーション激かぶり……。
ＰＳ３にプラットフォームを移しての、三国無双シリーズ最新作。
新たな船出として、モーション、グラフィックなど、多くの変更点があるとの事から期待していたのですが…………結果から言うと、「発売が早すぎた」という印象。
確かに、コーエーは「猛将伝」という追加パックを出してきますが、それにしても今作は完成度と言う点で、これまでよりかなり後退していると言わざるを得ませんでした。
それがどのような点なのか、レビューしていこうと思います。
【グラフィック】
まず目に付くのが、圧倒的な周囲の兵士の数。ワラワラ感は過去最高でしょう。
あまりに群がるため、誰を攻撃しているかわからなくなる（笑）時もありますが、今作では同時に、視点変更が可能になったため、慣れれば問題ないレベル。
問題なのは武将戦の方でしょうか。副将を多く引き連れている場合が多いので、名前表示＝武将と狙って攻撃していると、普通の副将だったなんて事も。
それから、武将モーションがかなり滑らかになっております。これは、後述の連舞システムともマッチしているのですが、武将の個々のモーションそのものに関しては、高評価じゃないでしょうか。
それとは別に、閉口したのが字幕のフォントの小ささ、及び全体マップの小ささ。
今回、無双モードでのムービーがかなり多く、また戦場の戦況を示すセリフも良く飛び交うのですが、それらのセリフを示す字幕が小さくて、読み取るのに一苦労。
全体マップも小さいので、目標を定めて移動するときに慣れない内は目を凝らしてテレビとにらめっこしなくてはなりません。
【音楽】
マップ数の減少に伴い、音楽の数も減りましたが、全体的に粒揃い。無双４の頃より、好きな曲がそろっています。
固有マップ曲は、ダメな曲がないですね。黄巾の乱、許都の戦い、そしてシリーズでも名曲が多い合肥新城の戦いは特にオススメ。
【システム】
ハイ、ここです。「発売が早すぎた」と評する所以は。
力を入れているのはわかりますが、それにしても「作りきった」というレベルに達していないのです。
その１……モーションかぶりまくり。
例えば、これまでのシリーズでも、黄忠←→夏侯淵、劉備←→袁紹、呂蒙←→張遼などのように、攻撃モーションが似たキャラはいました。
それでも、チャージ攻撃、途中からのモーションの分岐など、別のキャラを扱っていると言う実感はありました。
ところが、今作では、登場キャラの半分以上（小喬をのぞく、無双モードに該当しないキャラ）はモーションがほとんど同じ。ただ見た目が違うだけで、戦い方もほぼ同じという事になっています。
これは明らかに開発期間が足りなかったんでしょうねぇ。
そしてもう１つ、発売が早すぎたと感じた要因。
その２……無双モードが用意されていない、つまりは、フリーモード専用のキャラがいる事。しかも、それが全体の半数以上という多さ！
上にも書いたように、これらフリーモードのキャラは、モーションがかぶりまくりで、ストーリーが無い＆モーションが没個性というＷパンチで、育てる意欲大激減。
今回はですね。史実に沿ったような無双モード展開だった無双４に比べ、キャラごとに個性的なストーリー展開がなされています。
例えば、孫尚香は見ているこっちが恥ずかしいくらい、劉備とラブラブ路線突き進んでますし、司馬懿は中盤から終盤で野望の展開が繰り広げられます。呂布なんか敵が増えすぎて、もう…………（謎）。
それだけ、キャラごとのプレイが楽しみであっただけに、無双モードの削減は、今作の魅力を大幅に削いでいるのではないでしょうか。
その他の点では、連舞システムが新たに導入。これは、レベルが上がれば上がるほど、攻撃ヒット数、攻撃範囲が広がるというもの。
劉備、諸葛亮、周瑜あたりの、最終攻撃締めあたりは異常ですね。氷属性＋一閃がついてると、武将を瞬殺できてしまうほど……。
しかし、連舞レベルが最高になったとしても、完全な連続技にはならないのは残念。途中で攻撃が途切れる場所があり、高難易度の武将ではガードされる事も少なくないです。
武器関連は、無双２、４の頃のように、入手するものによって、攻撃力、能力が違うというもの。
自分のお気に入りの武器を捜す楽しみは今作でもあります。
欲を言うなら、付加能力の種類は、もっと多くても良かったかな？と。
【欠点】
一つは連舞システムについて。
通常攻撃のヒット数が増えたのは良いのですが、チャージ攻撃方法が減少（強攻撃）したのがイタイですね。
いや、これまでもチャージ攻撃の中でヘッポコな性能なものも少なくなかったわけですが、よろけ、気絶、ダウン、浮かしからの連続技といった要素が、ずいぶんと省略されているため、どうしても攻撃が単調になってしまうのです。
それに、今作では、無双乱舞も締め部分以外は、通常攻撃のモーションとほとんど同じですし……。
あとは、育成ツリーについて、レベルが上がると半強制的に育成項目が埋まっていくこのシステム。
ほとんどは、それでいいんですけど、唯一「無双ゲージ」が育ってしまうのが、かなりキツイ！
高レベルになって、べらぼうに伸びてしまった後の無双ゲージは、一回放出するとまた溜めるのにかなり時間かかりますからねぇ……。
【まとめ】
無双シリーズはかなり好きで、これまでも相当やり込んで来てはいますが、そんな自分でも、無双モードが用意されていない＆モーションかぶっているキャラ達は、育成に手をつけていません。レベル１のまんまです。
無双モードが用意されているキャラは、全員クリア＆レベル５０までプレイしているだけにその落差が……。
やはり、これはもう少し時間をかけて、完成度を高めてから、発売するべきだったと思いますね。
システムの大幅見直し、無双モードのストーリーの変化のつけ方など、新しいスタートを切ろうとする気合は見えただけに、それが残念でなりません。
全体的に辛い文面となったように、正直、今回はオススメ度は低くなりますが、無双６が出るなら、今回の問題点を解決するだけで、かなり新しい無双になると思うので、その点に期待しておきます。
まぁ、孫尚香のもはや蜀陣営モードと言えるぐらいのラブラブっぷりは特筆ものなので、無双４での悲劇を癒したい人は、見ておくのが良いと思います（笑）。
・個々のキャラで全く違う無双モードのストーリー展開。全キャラ、ストーリーを追う価値あり。
・ワラワラ感はさらにバージョンアップ。
・武器探しのロマンは今作でも。
・無双モードが無いキャラ多数（泣）！
・さらにモーションがかぶっているキャラも多数！
・チャージ攻撃的な攻撃数が一気に減少。
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