世界征服主人公。
『世界征服！』
この、いかにも悪者が口に出すようなモノを、大真面目に冒険のきっかけとしている主人公をはじめて見ました。
しかも、途中も一切その目標を変更する気ナッシング！
……そんな特徴的な出だしで始まるのが、スクウェア（現スクウェアエニックス）のＡ・ＲＰＧ、「デュープリズム」です。
【概要・キャラなど】
正確に言うなら、デュープリズムの主人公は二人。
少年ルウと少女のミント。同一時間軸上で展開され、最終目的はどちらも古代の遺産であるデュープリズムを目指すものですけど、途中の過程、また終盤のストーリー展開がかなり変わってきます。
ルウの方は、主にシリアス担当。自分自身、敵対する相手、そしてデュープリズム、この三つが絡まり、それぞれの事情が明かされながら、話が進んでいく、王道的なもの。
そしてミント。
滅茶苦茶です（笑）。
先にも述べたとおり、彼女の目的は、『デュープリズムを手に入れて、その強大な魔力を用い、世界を征服する』というもの。
これは物語の起承転結全てで徹底していて、邪魔するものは、魔法と暴力（主に飛び蹴り）で片っ端から排除します。
ルウの方ではシリアスに相対した終盤の敵方ですら、まともに事情を話させないまま。最後の勝負を挑んできた相手を、不意打ちの飛び蹴りで始末するイベントなどもあり、その暴れっぷりは痛快を通り越して、被害をこうむった相手に同情すらしてしまうほどです（苦笑）。
まさしく、一見の価値あり。
脇を固めるキャラも魅力的な粒ぞろい。
いろいろお世話になるクラウス一家はもちろん、典型的なライバル関係になるベル＆デューク、アツい男のロッドなどなど、個性的で楽しいやり取りを見せてくれます。
このへんのセリフ使い、キャラのまわし方はとても面白いものでした。全体通しても飽きが来ず、製作者のセンスが十二分に発揮されたところだと思います。
【システム】
Ａ・ＲＰＧとありますが、ほとんどアクションものと思っていいでしょう。
一応、ＨＰ、ＭＰ、攻撃、防御、というお馴染みのステータスがありますが、それほど育成や買い物による装備品に幅があるわけではありませんので。
まず感じたのが、操作性関連が良いこと。キー入力とキャラのレスポンスがよく、操作していて不満を感じるところがほとんどありませんでした。
アクション自体は、横画面あり、縦画面あり、斜め見下ろしあり、と多岐にわたります。ただ、難易度そのものは低め。キャラ育成のための、「稼ぎ」をしなくても、通してクリアできるほどです。
一応、各所に謎かけもあります。こちらも難易度低めなので、それほど頭を悩ますこともないかと。
全体的にユーザーに親切なところが目立ち、遊びやすさはオッケーなんですが、いくつか不満点も。
まず、この画面構成でフルポリゴンという表現上、仕方ないのかもしれませんが、敵・味方ともに、バトル時の判定がけっこう曖昧です。なので、あまり精密なアクションは期待できません。
それから、やはりオートロックが気になりました。敵の方を勝手に振り向いてしまうので、逆にしばしば苦境に陥ることも。
また、ルウの「モンスター変身」、ミントの「魔法」という、それぞれの独自の戦闘方も、今ひとつ練りこみ不足。
魔法は種類こそ多岐に渡るものの、白＋ワイドの５ほうこうだん、緑＋スーパーのしょうげきは、黄＋スーパーのてきをおいつめる、があれば、たいていの敵には対応できるほどですし、モンスター変身はほとんどダンジョンの仕掛けをクリアするのに使うのみ。
いくらお手軽とは言え、もっと活躍の場面を与えても良かったのでは……。
【その他】
二人の主人公がいて、それぞれに別なストーリーを織り成すため、きちんと話を理解するには、それぞれ一回ずつプレイする必要があります。
ルウだけでは、ミントの素性がハッキリとはしませんし、とにかく大暴れで突き進むミントでは、そもそも物語の根本にあるものが、あまりわかりません（笑）。
二人ともクリアすれば、最終的な追加エンディングが見られますしね。
そんな、「二人分クリア」が前提とは言え、やはり総プレイ時間の少なさ、そしてそれがもたらす世界の狭さが、非常に惜しい！
古代の遺産をめぐる戦いとは言えど、結局は一つの島を舞台にしたもので終わっています。それぞれのプレイ時間も、７〜８時間ほど。時間がかかる人でも、１０時間ほどでしょう。
キャラのやり取りが楽しかっただけに、このプレイ時間の短さは、「もっと見たかった」という思いを余計強くしました。
途中の寄り道要素、サブイベントなどを増やして、せめて１５時間プレイぐらいのは伸ばせなかったのかなぁと。
街の中でも、雑貨屋や酒場の人達が話しに絡むことはほとんどありませんし、そのあたりを生かすことは出来なかったのかなぁ、と。
話としてはちゃんと完結するんですけどね。こう、なんていうか、物語には満足したけど、まだまだ遊び足りない、という気持ちが。
【まとめ】
やはり、話の短さが残念
ヘビーユーザーならずとも、一般のプレイヤーも、もうちょっと遊びたい―――そんな感想を抱く人が多いのではないでしょうか。
そのぶん、気軽に遊べると言い換えられるかもしれません。
キャラは生き生きとして、その会話を見るだけでもかなり楽しめます。個人的にこのへんは大のお気に入り。
発売時の売り上げはあまり伸びなかったらしいですが、まず良作の部類だと思います。
・キャラの掛け合いがグッド。
・操作上のストレスがあまり無い。
・同じような目的なのに、話の性質がまったく違う二人。
・話の短さ。物足りないと感じる。
・変身、魔法の使用場面が限定的。
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